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妊婦

妊娠と生殖免疫

生殖免疫から妊娠を考える

ヒトやウシなどでは、人工授精や受精卵移植などの技術が大幅に向上したにも関わらず、半分以上の確率で妊娠することができないのが現状です。何でこんなに難しいのでしょうか?妊娠率が低い理由は卵子や精子の問題が考えられます。さらに、卵管細胞が機能しているのか?胚が確実に母体によって認識されて着床できているのか?胎盤形成は正常に行われているのか?などなど、妊娠成立のためには数多くのハードルを越える必要があり、どこかのポイントで適切な機能が破綻してしまうと、妊娠不成立・流産・妊娠疾患発症などに繋がると考えられます。
私たちの研究室では「どうしたら妊娠できるようになるのか?なぜ妊娠し難い状況が発生するのか?それを改善するにはどうすれば良いのか?」という点について、重点的に研究を進めています。そのため、畜産現場で実験したり、ヒトの妊娠疾患の臨床検体を解析したり、マウスの妊娠疾患モデルを作製して解析するなど、多彩な研究を展開しています。

長期不受胎牛でも妊娠できるようにしたい!

ウシの初回人工授精受胎率は年々減少しており、何度も人工授精したのにも関わらず受胎しない「長期不受胎牛(リピートブリーダー)」という個体が増えていることが畜産現場で大きな問題になっています。
私たちの研究室では、長期不受胎牛に対して『追い移植(人工授精+受精卵移植)』を実施することで、これまで何度も人工授精しても妊娠しなかった個体の妊娠成立を促進することができる、という技術を開発しています。この技術を現場に広め、日本の畜産の基盤強化を目指しています。さらに、なぜ長期不受胎牛となってしまうのか?という根本的な問題についても解明に取り組んでいます。これらは、家畜改良事業団・日本家畜人工授精師協会・日本獣医生命科学大学との共同研究で進めています。

ヒトの妊娠疾患を解明したい!

妊娠高血圧症候群は、全妊娠の約10%に発症する妊娠特異的な症候群です。妊娠高血圧症候群は、全身性または胎盤において炎症反応が亢進状態になることが病因の一端として考えられていますが、詳細は不明です。
私たちの研究室では、この疾患を発症した妊婦さんの検体を解析して原因を探索したり、妊娠高血圧症候群モデルをマウスで作製することで病態を解明したり、さらにはサプリメントを摂取することによる予防・治療効果について研究を進めています。さらに、妊娠高血圧症候群の母親から生まれた子供の成長やメタボリックシンドロームの発症リスクは?というDOHaD仮説についても、マウスモデルで研究を進めています。これらは、自治医科大学やニュートリション・アクトとの共同研究で進めています。

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